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安倍夜郎辞典 メニュー

生まれたときから下手くそ

第1話 浪曲子守唄

  • ●ガイミソ
  • ●さくら組入園
  • ●ゼリー
 
茶仕切
 

第3話 幼稚園年長きく組

  • ●足袋
  • ●巻き寿司
  • ●ゲッツ
  • ●おしめ
  • ●ズボン下
  • ●冬の定番
  • ●カバン
  • ●どうするがぞね
  • ●お別れ遠足
 
茶仕切
 

第4話 中村小学校一年生

  • ●カッコウ取り
  • ●ビッタレ
  • ●パン食
  • ●自転車の特訓
 
茶仕切
 

第5話 父帰る

  • NEW●オラのが
  • NEW●毎晩おきゃく
  • NEW●地下タビ
  • NEW●ニッカポッカ
 
らせん仕切り
 

酒の友 めしの友

キビナゴのフライ

  • ●キビナゴのフライ
 
茶仕切
 

渡川の幸

  • ●青のり
  • ●ゴリ
 
茶仕切
 

皿鉢料理

 
茶仕切
 

イタドリの花咲く頃

  • ●春採りイタドリとイタドリの花
  • ●ツガニ
 
茶仕切
 

四万十の山芋

  • ●祖母のおにぎり
  • ●山芋を調理する
  • ●山芋を食べる
 
茶仕切
 

帰省の味

  • ●宇高連絡船のうどん
 
茶仕切
 

ミュージカル「深夜食堂」と文旦

  • ●土佐文旦
らせん仕切り
 

掲載書籍

高知県四万十にて、
なつかしい昭和を生きる
父と子の物語。

生まれたときから下手くそ
単行本 第1集

書籍

(C)安倍夜郎
「生まれたときから下手くそ」/
小学館ビッグコミックオリジナル
連載中

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新連載スタート!

ビッグコミックオリジナル増刊号2014.9.21

作者・安倍夜郎デビュー前の自伝的作品「生まれた時から下手くそ」が、完全新作でスタートした。父がいてぼくがいる、数珠つなぎの記憶。時は昭和、所は土佐。なんちゃあない父との日常に、こじゃんと思いでが…あった。

ビッグ増刊140912

(C)安倍夜郎
「生まれた時から下手くそ」
/小学館ビッグコミックオリジナル
連載中

 

安倍夜郎が綴った
しみじみ読ませる酔わせる
漫画+雑文集!

酒の友 めしの友

安倍夜郎の描き下ろし漫画+雑文集。「マイ・フレンド 酒の友 めしの友」編では、故郷・高知県四万十市の食文化や自らの思い出を綴っている。(マルマルのひと)編では、それぞれの街でたくましく生きてきた女性たちの人生を描いている。

酒の友

(C)安倍夜郎/
株式会社 実業之日本社

 
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安倍夜郎辞典ページContents

 
辞典タイトル
 

生まれたときから下手くそ

第1話 浪曲子守唄

ガイミソ

【ガイミソ】

利かん坊「ビッタレ」の反意語。勝ち気でわんぱく。乱暴で荒々しい行動にでる子供。気が強く、だだをこねたり、いたずらをする。成長した素行がよくない不良少年のことも指し、潜在的幼児性暴力癖はその後も続く。形容するときは、「ガイな~」と変化する。「ガイな事をせられん」とは、「乱暴な事をしてはいけません」という意味。p20

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

辞典

【さくら組入園】

昭和42年 マコト少年は中村幼稚園、年中のさくら組に入園する。担任のオカダ先生は色白でキレイな人だった。中村幼稚園には、Yシャツに半ズボン、スモック(上着)の制服があった。やわらかい塩化ビニールのさくら形の名札も印象的。特別な行事や写真撮影時には制服を着るのが決まりになっていた。p21

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
ゼリー

【ゼリー】

幼稚園で一日一粒だけ、おかえり前に「ゼリー」をもらえた。グミのような肝油ドロップの一種。頭の上や、顔の前で、手を合わせてチューリップのつぼみをつくり、曲に合わせて開くと先生がひとつずつ赤い小粒の「ゼリー」を入れてくれた。一度でいいから、「ゼリー」を二粒三粒いっぺんに食べてみたい。幼稚園の頃のマコト少年の夢だった。p21

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

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第3話 幼稚園年長きく組

足袋

【足袋】

1960年代 運動会といえばハチマキと足袋だった。真っ白な体操服上下を運動会におろす子もいた。そうでない子も足もとだけは、本番を新品の「運動足袋」で臨んだ。底の部分だけ厚手の生地で補強してあるステッチが印象的だった。ソール部分も柔らかく、組体操や騎馬戦でも危なくないよう、使い捨て感覚のフィット感を重視した作りだった。p42

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

ゲッツ

【巻き寿司】

朝早くから、母と祖母が、運動会に持っていく折詰の巻き寿司を作っていた。そんな光景を見るとさすがのボクでも気持ちが高まった。こぶの巻きずしは、色の薄い白板昆布と色の濃い黒昆布の二種類あって、少し甘く煮てあった。このこぶの巻きずしはよそでは見かけないから土佐独特のものかもしれない。めのりの巻きずしは芯にニンジン・カンピョウ・シイタケに卵焼きやゆでたほうれん草なんかが入ってるから苦手な人もいて、芯を箸で突き出して周りだけ食べる子もいた。子供に一番人気があるのは薄焼き卵で巻いた卵のすしだ。大人はサバずしやこぶのすしを食べ、子供は卵のすしばかり食べていた。p44

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

ゲッツ

【ゲッツ】

ビリのこと。「運動会の練習ばっかりやもん。なにやってもゲッツやけん行きとうない。幼稚園休みたい」と訴えたが、「男の子がそんなことでどうすらぁ。明日休むがやったら、幼稚園やめなさい」と母は厳しかった。早生まれで気が弱くて鈍くさい。三拍子そろったボクは運動が全くダメだった。運動会の写真には大体ポツンと一人ボクは写っている。p45

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

辞典

【おしめ】

おむつのこと。木綿100%の「てぬぐい」「ハンカチ」「シーツ」の生地に近い。昭和40年代は、ゆかたなどの衣類をリメイクすることもあった。今のように使い捨てではなく、洗濯して繰り返し使用した。冬場 暖めるためばかりではなく、早く乾かすために、こたつの中に入れることもあった。p50

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【ズボン下】

パッチ、バッチ、モモヒキのこと。母親が衣服を揃える小学校低学年くらいまでは冬のインナーパンツだった。病み上がりなどはよく身に付けていた。特別な行事や家によってはタイツを履いている子もいた。マセてくると、ズボン下を履いていることを他人にばれることが嫌で、反発することもあった。p50

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【冬の定番】

昭和43年(1968年)中村幼稚園、年長きく組に上がる。冬の朝、マコト少年は母に着替えを事前にこたつで温めといてもらうほどの寒がりだった。それに加え体が弱く、いつも風邪をひいては熱を出していた。スモックの下にセーターに長ズボンがマコト少年の冬の定番コーデだった。p51

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【カバン】

通園用カバンをいつも斜め掛けしていた。犬のいる家の前では思い切り走り抜けた。素材の質感と香り、優しい黄色がとてもなつかしい。斜めにデザインされいてるポケットが機能的でカッコイイ。幼稚園から帰って来てカバンを片付けずにいると、すぐにマコト少年は叱られた。父が家をあけていた頃の母はとくに厳しかった。p51

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

辞典

【どうするがぞね】

音の響きとしても品があって柔らかい「~ぞね」は幡多地域の年配の女性がおもに使用していた。男性が言うと「どうするがぜよ」標準語では、「どうするの」となる。分解すると「が」(疑問の助詞)+「ぞね」(~ですよ)。他の例としては「何言いようがぞね」→「何言ってるのよ」という意味になる。p55 

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【お別れ遠足】

リュックに水筒、マコト少年は長ズボン。年長きく組お別れ遠足の朝。風邪をひいて鼻水が出ていた。「半ズボンでいくけん出して。」「何言いようが。また熱が出たらどうするがぞね。」と母に幼稚園の行事の決まりをうまく伝えられず、長ズボンをはいて遠足に行くことになった。岩根先生には…。p55

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 

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第4話 中村小学校一年生

辞典

【カッコウ取り】

なんとなくキザな仕草をすることまたは、その人。なぜか鼻につくポーズを決めたがる。服装がまわりと違う。言動がみんなと違う。実際よりもよく見せようとする。中身が外見に伴わないと、目立つ分、よくからかわれ、泣かされていた。p61

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
ビッタレ

【ビッタレ】

弱虫のこと。能力がなく物事を達成できない。臆病で情けないこと。気も体も弱かったボクは、昔からこう呼ばれていた。掛かり付けの小児科に毎月2、3度お世話になっていた。近所のヤマモトケンくんは、一番仲のいい友達になった。二人ともビッタレで、家の中で遊ぶのが好きという共通点があった。p61

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【パン食】

手間が掛かる和食は、今でこそ贅沢品と言うイメージがあるが、昭和40年代、庶民の朝食はごはんに味噌汁、たまご焼きだった。上品でハイカラなお母さんはパン食を取り入れていた。イチゴジャム、マーガリン、バターを塗った食パンと牛乳、コーヒーの朝食は憧れの的だった。p64

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【自転車の特訓】

昭和40年代 幡多地域では、自転車の補助輪を「ゴロ」と呼んでいた。「ゴロ」付きはそれほど普及していなかった。幼稚園以下の子どもや女の子は「ゴロ」付き自転車から始めていた。小学一年生 男子のタクミちゃんは厳格なお父さんの方針で、「ゴロ」無し自転車で後ろを支えてもらいながらの特訓となった。p67

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 

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第5話 父帰る

辞典

【オラのが】

ボクの物。「オラ」は幡多弁の私。この場合の「が」は所有を表す。基本的に男性言葉で、特に最近は、若者・女性は使わない。有名なドラゴンボールの悟空とクレヨンしんちゃんの「オラ」は「オ」にアクセントを置いて発音するが、幡多弁の「オラ」はフラットに発音する。p76

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【毎晩おきゃく】

高知の人は何かと理由をつけて宴会をするのが好きで、冠婚葬祭や、正月や節句、八幡さんや一条さんの祭りなど、事あるごとに酒を酌み交わしていた。土建屋をやっていた父は、景気のイイときには、現場からおんちゃん達をつれてきて、毎晩のように、おきゃくをやっていた。p87

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【地下タビ】

足の指が親指と残りの二股に分かれている作業労働用の足袋。天理教の総本山にお参りに行った時も、地下タビ姿の父と母と叔父3人で写真に写っている。時は昭和の高度成長期、羽振りのよかった父は牛皮の地下タビを身に付けていた。正装であり勝負服である定番コーディネイトアイテムだった。p87

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 
辞典

【ニッカポッカ】

太腿がブカブカで裾が絞られたズボンを多くの現場作業者が着用してしいる。太っていた父は既製服が合わず、ほとんど母のオーダーメイドだった。ホントは行く気もないのに、正装のニッカポッカを身に付けて「父親参観日に行こうか!」と、マコト少年を嫌がらせては喜んでいた。p88

(C)安倍夜郎「生まれたときから下手くそ」/小学館ビッグコミックオリジナル連載中

 

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仕切りらせん
 

酒の友 めしの友

キビナゴのフライ

ガイミソ

【キビナゴのフライ】

キビナゴの食べ方は刺身に塩焼き、天ぷら、フライ。地域によっては、細切りにした大根と一緒にすき焼きにして食べる。おすすめは、キビナゴのフライ。 ほっこりとして食感も軽く、わかさぎのような苦味もない。作り方は、キビナゴを下処理もなにもせずにちょっと塩をふって、丸のままパン粉をつけてフライの要領で揚げる。それを揚げたそばからアツアツのうちに食べる。そして、ビールを飲む。ただそれだけ。もちろん焼酎でも日本酒でもワインでもいい。レモンがあれば搾ればいいし、ちょっと目先を変えたければ、マヨネーズとケチャップを交ぜたソースにつれるといい。料理のコツは唯ひとつ。キビナゴはあしが早い魚なので、新鮮なキビナゴを用意すること。p15

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

渡川の幸

青のり

【青のり】

冬から春にかけて、渡川河口では天然のスジアオノリが採れる。綱に乗せ少しずつ細かく分けながら天日で干し、香りのよい青のりに仕上げていく。干した青のりを炙ってもんで、あったかいごはんの上にかけると、なんともいい香りがする。そこに味の素をちょっとふって醤油をかけて食べる。これが旨い。いや旨過ぎる。味がいい上に、鼻から抜ける青のりの香りがたまらないんだ。p20

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

ゴリ

【ゴリ】

春の渡川の名物といえばゴリである。ゴリはハゼ科科の魚でヨシノボリというのが正式な名前らしい。主に佃煮にして食べるが、小さなゴリの一匹一匹から渡川の香りがして、おかずに良しツマミに良しである。
小学生の頃、ある朝、ボクはガス台に置かれた鍋のフタを取ってびっくりした。鍋の中を小さな魚が何匹も泳いでいるのである。「お母さん、これどうするが」と尋ねると、母は当り前のようにこのまま煮てすまし汁を作ると言う。「かわいそうなけん、やめて。逃がしちやって」ボクと妹は涙ながらに訴えたが、あえなく却下され、すまし汁になってしまった。p22

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

皿鉢料理

辞典

【タタキ】

幡多地域で宴会時に振る舞われる直径40cmほどの器に盛りつけられたバイキング形式の料理を皿鉢料理という。その中で最も特徴的なものがカツオのタタキ。巨大なフォーク状の道具に突き刺して藁でレア状態に焼く。直後に冷水でしめ、厚めに切って器一面に敷き詰める。きざみネギ・タマネギスライスを載せ、上からタレをヒタヒタに注ぐ。p39

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

 
辞典

【生(なま)】

刺身だけを皿鉢に盛った料理。幡多地域では「刺身」のことを「なま」と呼ぶ。マグロ、ハマチ、タイ、ヨコ、イカ、カツオなどが主流。甘いさしみ醤油のたまりとタップリのサワビ盛りが添えられている。婚礼など祝宴の際に供されていた皿鉢は、器から大きく踊り出す程の鯛や伊勢エビの活け作りを盛り込まれることもある。p39

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

 
辞典

【すし】

魚介などを酢めしに絡めた皿鉢も必ず加えられる。昔は鯖の姿ずし、鯵のひっつけずし、鰯のすし、キビナゴのすし、海苔巻きずし、卵巻きずし、昆布巻きずし、いなりずしなどが主流だった。付け合せにバランで仕切られて煮物、焼き物、酢の物、羊羹、フルーツなども添えられている。最近では、握り寿司も加えられることも増えてきた。p39

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イタドリの花咲く頃

辞典

【春採りイタドリとイタドリの花】

高知県では「イタズリ」とも呼ばれる。イタドリの名前の由来は「痛取り(いたどり)」の意味で、痛みを取る妙薬として用いられたという。日本全国あちこちに生えている。生でも食べることができ、昭和40年代子供たちはおやつ代わりに齧っていた。調味料で味付けし、鰹節を振りかけ山菜として食卓に上がることもあった。秋には白い小さな花をいっぱいつける。p45

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

辞典

【ツガニ】

四万十川で採れるモクズガニはツガニと呼ばれている。高級食材として有名な上海蟹と同種で河川に生息する。ミソの味が濃く9~12月になると身が詰まり、特に産卵期にカニコ(内子、卵巣)を抱いたメスが美味しい。塩茹、もしくは蒸し上げたカニの甲羅を剥ぎ、中身の黄金色の濃厚なミソから、独特の香りを楽しみ、シンプルにむしゃぶりつくのが一般的な食べ方。p47

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

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四万十の山芋

辞典

【祖母のおにぎり】

家の前の母屋に祖父母達が住んでいたので、爺さん婆さん子だった。沢庵やうるめいわしを齧りながらお茶をすすり、観るテレビは相撲、ナツメロ、時代劇、選挙演説。渋い目の嗜好はこの環境ゆえ身についた。夕方になると母屋の台所は炊き立てご飯の香りが漂っていた。祖母が握ってくれたおにぎりは熱々で美味しかった。今でも鮮明に記憶している。p53

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

 
山芋つくる

【山芋を調理する】

出汁を取った魚の身はほぐして、山芋と一緒に練り込むのが地元流。出汁はすまし汁よりやや濃いめに味付けして、とにかくグラグラに煮立てておく。山芋と魚の身が程よく練られたところに、「アツアツの出汁で山芋を煮る」感じで、この出汁をお玉で掬って少しずつくわえてゆく。摺子木をすり鉢から離して、糸の引き具合で山芋のとろみと粘り気を見極めて完成。p52

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

山芋食べる

【山芋を食べる】

山芋のとろみが丁度いい塩梅になったら、お椀に取りぬくぬくをすする。山の香りと海の幸が交ざり合った濃厚な味だ。そこに魚のすり身がアクセントになって、これがたまらなくうまい。半分くらいすすったところで、もう我慢できなくなって飯を所望することになる。飯にかけるとそれはとても危険だ。ズルズルと何杯でもお腹に納まってゆく。気づくと腹が張って苦しくて苦しくて…。p54

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

 

帰省の味

辞典

【宇高連絡船のうどん】

1988年、瀬戸大橋が開通し、宇野~高松間は乗り換えなしで行けるようになった。それまでは列車から「宇高連絡船」への乗り換えがとても不便で長旅一番の難所だった。座席を確保し、展望デッキで立ち食いうどんを食べるために、乗客の多くは列車から降りるやいなや猛ダッシュをかけていた。味そのものよりも、あのシチュエーションがうまかったのだと思う。p59

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

 

ミュージカル「深夜食堂」と文旦

辞典

【土佐文旦】

土佐文旦は冬から春にかけて、ぜひ食べてもらいたい。色は淡いレモン色、グレープフルーツよりもやや大ぶりな柑橘系の果物。夏みかんのように厚みのある外皮をむき、一房ずつ皮をむいて食べる。さっぱりとした酸味と甘み、ジューシーで果肉には適度な歯ごたえがある。文旦を食べるときは、新聞紙をしいて食べるのがおすすめ。食べたあと、そのまま新聞紙に包んで捨てられる。p68

(C)安倍夜郎/株式会社 実業之日本社

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